アラブ諸国に販路拡大するために ~今話題の「ハラール」を正しく知る~

アラブ・コンサルティングサービス東京

岩口 龍児

第3回 イスラーム諸国のルール(法律)

「私がなぜイスラームを学んだか」

 

筆者である私岩口は

法学部生だったときに、アラブの道徳や法律に関心を持ちました。

西洋法を学んできた私にとって、イスラームの法概念はとても新鮮でした。

『シャリーア(イスラーム法)とは』

イスラームは宗教であるだけでなく、であり、道徳であり、文化です。

 

イスラームの法概念は、

聖典クルアーン(コーラン)に基づいています。

つまり、クルアーンで書かれていることが

推奨されていること 禁止されていることの根拠になります。

 

これがまさに前回説明した「ハラール」と「ハラーム」の考え方になります。

 

法学的に言うと、

シャリーアの第1法源は聖典クルアーンになります。

そして、第2法源は、預言者ムハンマドの言行(言葉と行い)を記録した

「ハディース(預言者伝承)」です。

「アラブ地域の法制度の分類」

アラブ地域は法制度から3つに分類できます。

  1. サウジアラビア
  2. 湾岸地域(サウジアラビアを除く)
  3. エジプト及び北アフリカ

 

1は私が駐在していたサウジアラビアです。
クルアーン(コーラン)を憲法とし、シャリーアは裁判規範とされています。
商取引においては多くの独立した法律が適用され、

シャリーアは制定法が定められていない事項について適用されています。

 

2は、アラビア湾岸地域のアラブ諸国で

シャリーアの影響を受ける国々です。

 

3は、ナポレオン法典(フランス民法典)の影響を受けた地域です。

エジプトでは、

シャリーアは立法のための基本的法源として扱われます(直接適用はない)。

 

しかし、私が留学していたスーダン(英国法を有する)は

1983年9月、シャリーアの全面導入を宣言し、

サウジと同様に飲酒用の酒などの持ち込みは禁止など

裁判規範としてシャリーアが導入されています。

 

大陸法制度を有する非アラブのトルコ

人口の 99 % 以上がムスリム(イスラーム教徒)です。

 

一方、

政教分離原則を取り入れていますのでシャリーアの影響を排除しています。

「西洋法とイスラーム法の違い」

冒頭でも書きましたが

私が関心を持ったのは、西洋法とイスラーム法の違いです。

(西洋法には上記で触れたナポレオン民法典も含みます)

 

西洋法はキリスト教の思想の影響を受けていますが、

直接キリスト教の「聖書」がヨーロッパ各国の基本法になることはないです。

 

一方、イスラーム法は道徳、法律、政治に影響を与えており、

西欧とは全く異なる近代化をしました。

 

西欧型の法体系を組む日本に住んでいても、

イスラーム法を理解することは難しいと思っています。

「アラブの商習慣」

アラブに出張や駐在(滞在)する際に気をつけるのは、

法務関係のルールだけではないです。

 

アラブにはイスラームに根ざした商慣習もあります。

 

例えば、大きな意味では「イスラーム金融」と言われているものがそうです。

 

シャリーアでは、利子が禁止されています。

そのため、そのため金融業も利子をとるビジネスは禁止されています。

さらに、金融業以外での延滞利息の支払にも影響を与えています。

 

社用車を所有する企業は、ドライバーを雇っています。

サウジアラビアでは明文化されていませんが、

2015年現在まで女性のドライバーが禁止されています。

 

その場合、女性職員の運転はできませんし、

ドライバーを雇用する際は男性のみということになります。

今年は6月18日から7月16日までがラマダーン月でした。

 

国によっては

ムスリム(イスラーム教徒)従業員の労働時間を短くしなくてはいけないので、

ラマダーン月に入る前にスケジュール管理を見直す必要があります。

「まとめ」

アラブの国にはムスリム以外にもキリスト教など他宗教の方が住んでいますが、

国によってシャリーアが公共機関や企業に影響する場合があるので

注意が必要です。

 

次回は、いよいよハラール認証について解説いたします!

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