アラブ諸国に販路拡大するために ~今話題の「ハラール」を正しく知る~

アラブ・コンサルティングサービス東京

岩口 龍児

第4回 いわゆる「ハラール認証」に関して

今回は「ハラール認証」について説明します。

 

ハラールの基本事項は

第2回のメルマガで取り上げましたので、ご参照ください。

 

私が最初にハラール認証に出会ったのが、

マレーシアで働いていた時です。

 

私もハラール認証制度は便利で、

イスラーム教徒(ムスリム)にとって良い判断基準になると思っていました。

 

しかし、アルコール入りのものは全てダメだとか、

本来はハラールな水や米にハラール認証がつけられて不信感をもっています。

「クルアーンに書かれた『ハラール』」

クルアーン(コーラン)の第16章116節.117節には、

下記のように書かれています。

 

『あなたがたの口をついて出る偽りで、

「これは合法〔ハラール〕だ、またこれは禁忌〔ハラーム〕です。」

と言ってはならない。

それはアッラーに対し偽りを造る者である。


アッラーに対し偽りを造る者は、決して栄えないであろう。

(これらの者は)僅かな享楽だけで、かれらには痛ましい懲罰があろう。』

 

他者がハラールとハラームを決めつけることは強い禁止事項と読み取れます。

 

つまり、どんな人間でも団体でも

「これがハラールだ!」「これがハラームだ!」と決め付けることができない。

ハラールを決めることができるのは唯一神アッラーだけである、

というのがイスラームの根本教義です。

 

イスラームでは、

クルアーンを元にムスリム自身が個人の判断で行動することが求められます

 

このような判断をするムスリムとっては、

「ハラール認証」自体が個人の判断を奪うものと考える方もいます

 

また、そもそもハラールであるものに、ハラール認証をつける団体もいて

認証制度自体に疑心暗鬼になっているムスリムもいます。

「マレーシアで始まった認証ビジネス」

マレーシアは多民族国家で、

人口の6割をマレー系、3割を華人系、1割をインド系が居住しています。

 

元々はマレー人の国家でしたが、実際の経済を握っているのは華人系です。

(ちなみに司法制度は、シャリーアが運用されています)

 

ブミプトラ政策を施行するなど自国民を優遇し、経済でマレー人が主導権を

握ろうとする中で、ハラール認証制度を確立し

世界のハラールビジネスのハブになる道を選んだと思います。

 

しかし、そもそもハラールというのは上で説明したように

「他者がハラールを決め付けることは禁止されています」

「ハラール認証が国際化への一歩??」

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したことにより、

ハラール認証で盛り上げよう!というような団体が増えてきました。

 

しかし、それは正しいのでしょうか?

 

あなたがノンムスリム(イスラーム教徒ではない)外国人のお客さまだと

します。

 

せっかく日本に来るので、

美味しいものを沢山食べたいと楽しみにしていました。

 

しかし、どの店もハラールと大きく掲げて、

どうやら「イスラーム専門店」のようです。

 

あなたは「日本はムスリムしか歓迎してないのかな?」と思って、

あんまり旅行を楽しめませんでした。

 

このように、

ハラール認証を全面に出すと、

他宗教を排除していると勘違いされることもあります。

「本当のハラール対応とは」

ムスリムの皆さんにとって、

自分たちが特別扱いされることを望んではいません。

 

ただ、情報提供がしっかりされて

自分たちの判断で「ハラールである食事ができれ」ば、それでいいのです。

 

適切なハラール対応

  1. 英語で表記する
  2. 豚が入っていない食品には、No Pork
    アルコールが入っていない食品には、No Alcoholと表記する
  3. 日本語がわからない方でも把握できる
    食品ピクトグラム(絵文字)を使いましょう。
  4. 可能なら情報を載せたQRコードを入れましょう。

 

以上、4点の対応で十分です。

高いお金を払ってハラール認証を取得し、

専用の工場を建てる必要はありません。

 

次回は、アラブ世界で成功する人材についてお話しします。

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