相続税の税務調査 税務署はここを見る!
~無用な疑いを避けるには~  

税理士法人 寺尾会計事務所
代表社員税理士 中川明秀

第3回 税務署はここを見る! ~現金の申告漏れ~

「現金」は注目株!

税務署が相続税の調査対象として着目する点、調査において争点・論点になる点は

個々の案件案件によって多岐に亘りますが、今回は代表的な3つに絞ってみました。

 

今回はそのうちの1つ、現金についてお話ししていきます。

 

現金は、税務署が一番注目します。金目の物といえばやはり現金です。

 

「現金と言われても財布に僅かばかりと引き出しに少しぐらいしかあらへんがね。」という感覚が一般的でしょう。

 

でも、銀行などの貸金庫・自宅金庫はもとより、

いわゆるタンス預金としてタンスや押し入れの奥深くなどに

百万単位・千万単位の現金を保有しているケースは結構あります。

 

特に不幸にも死期が薄々自覚された頃から、

被相続人自ら或いは相続人が預貯金を引き出し、現金として保有していくといったケースが

見受けられます。

こういった現金も相続財産として正しく確実に申告されていれば何も問題ありません

 

しかし、相続が発生した後、亡くなられた方の身辺・持ち物などを整理している最中
何百万・何千万単位の現金を発見したとしたらどうでしょうか。
「他の相続人や税務署に言わんと内緒にしといたろか・・・」なんて気持ちが湧かないとも
限りません。税務署はこういった見方を持って注目するわけです。

 

税務署では提出された相続税申告書は、全件目を通します。

調査対象とすべきものないかという視点で、全件目を通すということです。

 

何か問題点はないか?土地の評価額は間違ってないか?

申告漏れ財産はないか?などを検討し、調査対象とすべきものを絞っていきます。

 

絞られた申告書については、調査対象候補として更に検討を重ねていきます。

 

国税当局は強い調査権限を持っています。

相続税に関して言えば、絞られた調査対象候補については、
被相続人はもとより、相続人についても過去の預貯金の入金や出金の状況を確認し、
問題点を洗い出して検討します。

 

その時に特に注目するのは先程申し上げた、現金です。

現金の動きです。

 

この現金入金はどこから来たのか、この現金出金はどこへいったのか。という視点です。

調査対象候補の中で、

現金の動きの回数が多いものや金額の大きいもの、それらの内容が不明であるものは

残念ながら調査対象確定です。

税務調査に選定されないための対策

そこで、対策をひとつ。

 

預貯金の入出金のうち、通帳の摘要欄・余白欄などに入出金内容の記入のないもので、
ほどほどの金額のものは備忘書・メモ書きをされるのをお勧めします。

 

例えば、29年6月15日500,000円ATM出金されたとしましたら、
その余白に「生活費」とか、「病院代ほか」とか、その他実態に応じて簡記されるとよろしいかと 思います。

 

そもそも、自分のお金ですから好きに使えばいいんですが、

相続税は亡くなった方の財産に対する課税であるがため、

後になって問題になった時に聞きたい人に聞けないという悩ましさがあります。

「困った」を相続させないためにも、今からなさっていただきたいことの1つです。

 

前回申し上げた数字、相続税申告件数に占める調査対象割合34%。
この約3割に入らないためにも、私ども寺尾会計では、
ご依頼いただいた相続税申告書の作成に当たってはお客様のご協力をいただきながら、
相続開始前5年間ぐらいの被相続人の預貯金の入出金については、

可能な限りの解明結果を申告書に参考資料として添付して提出しています。

 

誤りのない適正な申告書の作成のために取り組んでいるのですが、

同時に税務調査対象とされないためという効果も大いにあると考えています。

 

皆様もご自身で申告書を作成される場合は、税務署の先手を打っ

不明な入出金の解明結果などの資料を添付されるとよろしいかと思います。

 

そのためには、先程お伝えした備忘書・メモ書きが大事なことになると考えています。

 

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