赤字1800万円の小売店が、たった一年で500万円の黒字になったワケ

ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表
梅本泰則

第4回 社員全員で「ありがとう」

もう一つの問題

さて、販売する商品も決めて、販売価格も少し高く売るようにしました。

期末には、どんな成果が出るのか楽しみです。

 

ところが、このお店にはもう一つ目につく問題がありました。

それは、どうも社員の皆さんに元気がない、ということです。

 

よくよくその原因を探っていくと、

お互いのコミュニケーションがうまく取れていないことに気が付きました。

 

また、社長との話の中で、

「一人の不満分子がいて困っている。辞めてもらおうかとも思っている」

と言っておられたのを思い出しました。

 

それも社員の士気に影響を与えているのかもしれません。

ありがとうカード

そこで私は、

そのコミュニケーション不足と不満を同時に解決できる方法を提案しました。

それが「ありがとうカード」です。

 

これは、いろいろな小売店で実施されている方法なので、ご存知の方もいるでしょう。

社員同士で「ありがとう」と書いたカードを渡しあうというものです。

 

お店で名刺サイズのカードを作ってもらいました。

そこには、

(    )さんへ

(            )してくれてありがとう

(    )より
と印刷してあります。

 

これを全員に何十枚か配っておきます。

相手に何かをしてもらった時に、

カードの(   )のところへ記入して渡すことにします。

 

例えば、

(佐藤)さんへ

(商品整理を手伝って)くれてありがとう

(伊藤)より

という感じです。

コンテスト

そして、1か月間「ありがとうカード」を渡すコンテストを行いました。

つまり、誰が一番多くカードをもらったか、

そして誰が一番カードを渡したかを競い合うというものです。

 

コンテストが始まりました。

案の定、誰もカードを渡そうとしません。

それはそうです。

カードとはいえ、面と向かって「ありがとう」というのは照れ臭いものです。

しかも、普段からあまり社員同士のコミュニケーションが良くないのですから

無理はありません。

 

社長は私に「どうしたらいいでしょう」と相談をしてきます。

解決方法は一つ。

あなたが率先してカードを渡すようにすれば、皆さんも渡すようになります」。

 

それから社長は、せっせとカードを書いて皆に渡し始めます。

社長から「ありがとう」といわれれば、嬉しいですよね。

徐々に皆さんがカードを渡しあうようになりました。

各自もらったカードは、

事務所の「ありがとうカードボックス」に入れなければなりません。

1か月後

そして1か月が経ちました。

結果はどうなったでしょう。

なんと、ボックスはカードでいっぱいになっています。

 

そのカードを壁一面に張り出しました。

すると、そこには皆さんの感謝の言葉があふれています。

カードを読んだ皆さんの表情が嬉しそうです。

 

一番カードをもらった人とカードを渡した人が表彰されたのは言うまでもありません。

このおかげで、売場には元気と明るさが戻ってきました。

例の不満分子もぶつぶつ言わなくなったみたいです。

 

当然、その雰囲気はお客様にも伝わります。

売上や利益にいい影響が出るのは間違いありません。

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