契約の基礎知識

大槻経営法律事務所

弁護士・中小企業診断士 大槻 隆

第9回 契約書作成のポイント=不可抗力/権利譲渡の禁止/後書き=

契約書作成のポイント

=不可抗力=

 

事故が予期し得たかどうか、または自然に起きたか人為的に起きたかを問わず、

外部から発生した事故で、商品又はサービスの提供者が、

取引上あるいは社会通念上要求される手段を尽くしても

なお防止することが不可能なものを、「不可抗力」といいます。

 

不可抗力の条項は、これらの事由によって商品又はサービスの提供者が相手方に

目的物を引き渡せなかった場合には、相手方から責任を追及されない旨を定めるものです。

 

不可抗力事由による場合には、商品又はサービス提供者に損害賠償義務は発生しませんが、

不可抗力事由が相当程度継続する場合には、当事者双方が契約解除できる旨を定めた方が

良いです。

 

例えば、「天災地変、戦争、内乱、暴動、同盟罷業(ストライキ)・労働争議、

電力供給の逼迫などの社会的大変動、法令の改廃・制定・通達・指導等の公権力の作用

その他当事者いずれの責にも帰し得ない不可抗力によることが明らかであるときは、

その事由が継続する期間に限り、XYZメッキは遅滞の責を負わない。

 

但し、かかる事由が90日以上継続した場合は、

ABC商事は解約料の支払いその他の責任を負うことなく、

本契約を解除することができる。」

契約書作成のポイント

=権利譲渡の禁止=


経営不安のある当事者は、同じ債権を複数の者に二重譲渡する可能性があり、

債務者は誰に弁済すればいいのか混乱を発生させることがあります。

 

例えば、暴力団金融に対して債権譲渡された場合を想定してみてください。

期限前に強硬な取立行為を行うでしょう。

 

また、契約は当事者の信頼関係で締結したのであって、第三者に対して

契約上の権利義務を一方的に譲渡されてしまうと多大な不利益を被る可能性があります。

 

相手方に秘密が漏洩する可能性もありますし、

そもそも契約条項を守ってくれるような相手という保証もありません。

 

そこで、権利義務の譲渡禁止をするのが通常です。

契約書作成のポイント

=後書き=

 

契約書の条項が終わってから、

「本契約の締結を証するため、本書2通を作成し、

ABC商事・XYZメッキ各記名押印の上、各1通ずつを保有する。」

というような文章を通常は入れます。

 

最後のシメ、ですね。

 

今回で、具体的な条項のポイントはお終りです。

次回は、署名押印のポイントについて見ていきましょう。

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