できる人の仕事ぶり、改善の在り処を探る ~あきらめない職場づくり~

株式会社エフェクト
石井住枝

リスクマネジメント

現地現物

「現地に自ら足を運ぶ事をやめない」

 

出世する上司に共通する点でした。

最近はビデオも発達し、細かく遠隔操作で瞬時に確認できますし、

携帯電話を使えば、直接、現場の人に連絡を取ることも容易にできます。

 

しかし、感じる事ができないことがあります。

触感や嗅覚、聴覚や視覚、味覚もデジタルな情報では分かりません。

 

そして、「なんとなくいつもと違う」を感じる事ができないのです。

「なんとなく違う」は、現場を自らの足で歩き、五感で感じなければ分からない感覚です。

「いつもと違う」は、日々現場に行っていなければ違いに気付くことはできません。

詳細な報告書が上がってきても、実際に目で見て感じる事で分かることがあります。

 

例えば、整理整頓された工場に部品のたな(ラック)がたくさん並んでいます。

現場を歩いていて役員が

「なんだか、暗くて狭い感じがしないか」

「ラックの高さをもう少し低くできないか」

工場を巡回していた役員からの発言でした。

 

これにより、ラックの高さは1.5M以下に整える事になりました。

 

整えてみると分かった事ですが、

見通しがよくなり、作業の手元が明るくなり、必要以上に照明が不要になりました。

 

そのうえ、影が少なくなったので、フォークリフトや台車などの飛び出しによる接触を

心配する必要もなくなりました。

 

また、隣のラインの作業状況がよく見えるようになったので、コミュニケーションが増え

職場全体で助け合いの気持ちが生まれました。

 

このルールは改善が加えられ、他のライン、他の工場にも展開されることになりました。

 

ビデオで監視は、滞りなくラインが流れていることを確認することはできます。

しかし作業をしている環境や働きやすさは、自らの足で歩いてこそ分かることです。

危機の時の立ち位置

トラブルが起こった時、指揮官が真っ先にやるべきことは、

役割と優先順位を決めて、動かず任せる事です。

 

日ごろ現地現物が大切と工場に出向いていますので、

つい率先して現場を見に行く気持ちはよくわかります。

 

もちろん、現地確認は非常に大切なことでありますが、

日ごろ確認していることなのですから、見当は付くはずです。

 

ですから、統率する人はまず腰をおちつけて、組織をどう動かすべきなのか、

統率する組織、情報収集本部を立ち上げて情報の一元化を行います。

こうして、正しい情報が早いタイミングで混乱なく収集できるしくみをつくること。

最適な判断をくだすためには、正確な情報を迅速にキャッチしなければなりません。

 

「大きな危機がある時ほど、トップは動じず任して責任をとる」

 

トラブルの時に、真価が問われますが、

責任をとるという腹をくくれる事が、上司の役目でもあるはずです。

「言って言わせて、やってやらせて、フォローする」

仕事を部下に任せるとは、放置することや責任を転嫁することとはまったく異なります。

 

任せるとは、仕事をさせる事だけでなく、

その仕事がきちんとできるまで、指示した側が見守り、

できない場合も含めてフォローするつもりで指示しなければなりません。

 

つまり、指示した以上、その上司にも責任があるということです。

 

部下に仕事の指示する際、

「○●の件、△月△日の会議に使いますからお願いしますね。」

「はい、わかりました」
の返事で安心していませんか。

 

「わかりました」って何が分かったのでしょうか。

その資料は、いつまでに確認が必要なのか。どこに展開されるのか。

どのくらいのレベルで詳細が必要なのでしょうか。

資料はいつまでにできるのかな・・・。と色々疑問がわいてきますよね。

 

仕事の指示をする際には、

どの場面で使用する資料なのか、期日の理由、資料の対象は社内なのか社外なのか、
と理解できるように伝えなればなりません。

理解できなければ資料の作り方、期日さえ変わってきてしまいます。

その資料に責任を持つためにも、上司自らが確認することも必要です。

 

また、仕事の指示、相談はメールに頼らないこと。

 

確かにメールの方が、数字など正確に伝えるためにとても便利です。

しかし、メールでの指示は会話で伝えるよりずっと伝わっていないものです。

メールであっても、仕事の指示をする時、部下に誤解なく伝わっているのか、

大切な用件、急ぎの時は特に会話での再確認が必要です。

健全な危機意識を磨くためには、やはり事実の確認をすることです。

時には、部下と一緒に現場へ足を運び、現地現物を確認する大切さを伝えてくださいね。

 

次回は、「コスト意識」をお伝えします。

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