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コラム

2022.12.13

寺尾会計の税務的な毎日

相続時精算課税のキホンと留意点

資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた方向性が
令和3年度の税制改正において示唆されて以来、
暦年贈与制度がなくなるとか、相続加算の年数が延長するなどといった多くのうわさが流れ、
税制調査会においても専門家会合が開催されるなど、相続税・贈与税に対する関心が高まっています。

そんな中で今回は、「資産移転の時期の選択により中立的な税制」とされる
贈与税の「相続時精算課税」についてご紹介いたします。


現行の贈与税の課税方式には、暦年課税と相続時精算課税の2種類があります。

そのうち、相続時精算課税(以下「精算課税」という)は
累計で2500万円までの財産に係る贈与税が、相続時まで猶予されます。
2500万円を超える部分に対しては20%の贈与税が課された上で、
相続時に精算される制度です。

例えば、3000万円の贈与をした場合、贈与税は100万円ということになります。
※(3000万円-2500万円)×20%=100万円

また、相続が開始した際、相続財産の価額に3000万円が加算された上で、
算出された相続税から100万円控除されることになります。

精算課税は、次の2つの要件を満たした場合に適用されます。
① 成人が、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、贈与を受ける
② 贈与を受けた年の翌年3月15日までに一定の届出書を提出する

特別控除額(2500万円)は、受贈者ごと贈与者ごとに適用されます。
ですから、精算課税を選択するのであれば
息子が父から2500万円、娘が父から2500万円、
息子が母から2500万円、娘が母から2500万円が贈与された場合でも、
すべての贈与につき特別控除額が控除され、納付すべき贈与税額は0となります。


精算課税を選択する方が留意されるべきポイントは状況に応じて諸々ありますが、
今回は次の3点をピックアップしました。

・精算課税制度を選択した年以降の贈与税の申告書を、相続時まですべて保存しておく。
  制度の創設から20年近くが経過し、贈与してから相続が開始するまでの年数が長くなるに従って
  ご自身が精算課税を選択していたことを失念してしまうケースも見られるようになってきました。
  相続税申告が終わるまでが制度の適用期間という意識が必要となります。

 

登録免許税、不動産取得税は「贈与」の税率が適用される。
  不動産を精算課税により贈与した場合
  贈与税が無税で贈与ができたとしても、登録免許税および不動産取得税は贈与として課税されます。
  登録免許税は相続時の税率の方が低いですし、不動産取得税は相続時であれば課されません。
  贈与をする場合には、登記に際して課される税金も含めて検討する必要があるといえます。

 

相続開始時の相続税制が現行よりも増税となる可能性がある。
  今の世相から考えると、将来、相続税・贈与税が減税する方向は考えにくく、
  むしろ増税する可能性の方が高いように思います。
  積極的に多額の贈与をする理由がない場合には、
  暦年贈与による贈与をしたり、贈与を見合わせたる方が理にかなっているといえるかもしれません。


相続税・贈与税のあり方について、どのような方向性が考えられるか。

資産格差の是正や富の分配という目的に対して相続税・贈与税でできることには限界がある中で
今後、資産格差を防止するために税制で何かできないか

そういったことが相続税・贈与税に関する専門家会合で検討されているようです。

理想や公平性にかなう抜本的な考え方の整理・検討がされるとともに、
簡素という視点もぜひ取れ入れて最終的な結論を出していただきたいと思うところです。

【参考HP】
内閣府 相続税・贈与税に関する専門家会合(第1回)議事録
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4sozoku-zoyo1kaigiji.pdf

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