資金調達したい経営者のための【銀行対応入門講座】

経営コンサルタント

平野貴之

第3回 銀行対応の基本「貸借対照表編」

次の、銀行対応(特に、資金調達)の基本は、
銀行員は「貸借対照表」のどこを見ているか?です。

貸借対照表のどこに注目しているか?

これも「全体」および「バランス」を見ているのですが、

一つだけに絞るとしたら「純資産」の部分です。

 

まずは、貸借対照表とは、どのような構造になっているかです。

貸借対照表には、
向かって左側に「資産」が書かれており、
向かって右側に「負債」が書かれています。
そして、
その「資産」と「負債」の差額部分が「純資産」です。


財政状況が良い会社

つまり、「資産-負債=純資産」ですので、
純資産が多ければ多いほど、財政状況が良い会社
と言うことになります。


債務超過の会社

逆を返せば、

純資産がマイナスであれば、

資産より負債が多い状態ですので、

財政状況が厳しい会社となります。

 

この状態の事を「債務超過」といいます。


 

銀行員は、「この企業が債務超過かどうか?

債務超過でなれば、どのくらい純資産が豊富なのか?」を見ているのです。

 

ですから、自社の貸借対照表で「純資産の部が債務超過になっていないかどうか」、

また「純資産の部がプラスであれば、どれくらいプラスなのか」を見てくださいね。

 

これが、銀行取引(融資が出るかどうか)の判断基準の一つです。

貸借対照表を見るときの注意点(実質とは?)

しかし、ここで注意点があります。

それは、銀行員は貸借対照表を「見たまま」で判断しないで、「実質で見る」という点です

では、「実質で見る」とはどのようなことでしょうか?

 

例えば、ゴルフ会員権。

貸借対照表には、ゴルフ会員権は、購入時点の金額で載っているとします。

しかし、銀行員は、決算日時点の時価に直して貸借対照表を見ています。

 

投資有価証券など時価が変動するものも同様です。

つまり、債務超過ギリギリの場合、

ゴルフ会員権を実質(時価)で見直してみたら、債務超過になるのであれば、

銀行は「実質債務超過の会社」と判断するのです。

 

また、在庫も「実質」で見ます。

 

これは、在庫がないのに在庫計上がされていれば、当然、マイナスされますが、

そういう意味ではありません。

 

例えば、アパレル関係で、流行の遅れた服が在庫としてあるけれど、

実際、今はその値段以下の価値しかないと判断されれば、

「実質」(=今の価値)で見るのです。

 

また、売掛金や貸付金で回収可能性がない(低い)と判断されると「実質」で見られます。

 

つまり、決算書上の貸借対照表で純資産の部がプラスでも、

「実質」で見た時に「債務超過」であれば、「実質債務超過」として判断されるのです。

銀行対応と決算書(損益計算書、貸借対照表)の関係性とは?

このように、前回、「損益計算書の営業利益がプラスかマイナスか?」を見て、

今回「貸借対照表の純資産の部がプラスかマイナスか?」を見てきました。

 

1期だけなら「営業利益がマイナス」になっても、ちゃんとした理由づけがあれば

銀行としては、問題になりません。

 

しかし、「2期連続の営業利益のマイナス(営業損失)」で、さらに「債務超過」に陥れば

銀行の新規の借入はかなり厳しくなります。

 

では、粉飾決算をすれば、どうにかなるかと言うとそうではありません。

 

上記で、貸借対照表を実質で見るといったように、

銀行員は、しっかりと決算書を見ています。

 

よって、粉飾決算をしたとしても見抜かれます。

 

では、「どうすればよいのか?」と言うと、

事業計画書」をしっかりと作成し、それに基づいて経営をして、

営業利益を出せる経営」「債務超過にならない経営」をしていく必要があるのです。

 

よって、

次回(第四回)は、事業計画書を説明していきます。

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