中小企業の提携戦略

さくらマーケティングサービス

西原弘之

第5回 競争相手と連携する「互恵的提携」に踏み出そう

「即戦力は競合他社にいる」

前回、提携する理由として「相互利用」、「強み強化」をあげました。

今回お勧めするのは最もハードルの高いことです。

 

競争相手と手を結ぶ

 

なぜそのような事をお勧めするのかこれから説明いたします。

 

貴社と同じ土俵で戦っている競合会社とは、

貴社が身を置く業界、事業環境、お客様やお客様のニーズ、その他複数の競争相手、

事業機会、テクノロジー、人材、などを分け合っている存在です。

 

特に人材で言いますと

一つの業界にいる人材はその事業の特性を知り、顧客ニーズや競争相手の製品を知り、

何がクレームになるのか、何が喜ばれるのか、を知っています。

 

の仕事が要求する条件をおおよそ備えた人たちであり、

いわばその業界のプロといえます。

それらの人たちがそれぞれの競合や自社に集まっています。

 

という事は、皆さんが普段欲しいと思っている即戦力は、競合他社に集まっているのです。

 

仮に一つの業界に10社が存在し、

そこに従事する社員たちやパートさんなどが全部で200人いたとしたら、

その10社が200人のプロたちをそれぞれ分けて抱えて商売をしている

ということになります。

 

その中で貴社がもしもどこかの1社と提携して、その合計社員数が50名になるとしたら、

提携の内容によっては貴社が一挙に50名分の戦力を得ることになります。

 

もちろん、競合との提携は利益分配や人事管理一つとってももろ刃の剣なのですが、

技術や顧客へのアクセスなどほかにも欲しいものがそこにあるのですから、

競合との提携は真剣に検討してみる価値があります。

 

逆に業界違いの人を採用して教育に費用をかけ、我慢も重ねた挙句に退社されてしまう
というロスは中小企業にはかなり大きなダメージです。

 

ハイリスクだけれどゲインも大きい競合との提携。

 

おそらく考えたこともないと言われる方がほとんどでしょうが、

一度思いめぐらせてみてはいかがでしょうか。

「提携相手を選ぶにはまず戦略を見る」

それにしても、

そんなリスクもある提携をする相手をどのように見極めれば良いでしょうか。

 

まず信頼する対象は、「相手」ではなくて「戦略」です。

 

いかに明快な戦略を提示して相手を納得させるか。

逆にいかに明快な戦略を相手が持っているか。

 

これをまず一切の感情を排除して、

自社にとっての損得100%の切り口だけで検討してみましょう。

 

戦略が完ぺきならば次に相手が信用に足るかどうかを、そこから判定します。

 

判定方法は "その戦略の一部分だけをまずやってみて、小さな成功例を作る事"。

 

日々のやり取りの中で互いの信頼感や距離感はわかってくるでしょう。

相手も同じ目で自社を見てきます。

長続きする提携の秘訣は、小さな成功例の積み上げなのです。

 

なぜならば提携を実際に運用するのは社員であり、

小さな成功は社員にとって最も身近でわかりやすいからです。

 

信頼感醸成のカギは社員一人一人にあるのです。

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