事業承継を円滑に進める人材戦略

Thermalworks株式会社
富平晃行

第6回 後継者を巻き込んだ人材戦略づくりのススメ

事業戦略と人材戦略を並行して考えるプロジェクトの発足

  • 後継者がリーダーとして両戦略を組立て、社内外に発信する
  • 現社長は、様々な価値観の人間の心情のバランスを整える役として力を発揮する。

「事業承継を円滑に進める人材戦略」と銘打ちお伝えしてきたお話も、

今回が最終回となります。

 

今回は後継者を巻き込んだ人材戦略のススメということで、

事業承継にあたってとるべき人材戦略をだれが作るのか、どういう進め方で作るのか

そして現社長から次期社長に伝えるべきこと等についてお話をさせていただきます。

 

事業承継を見据えたプロジェクトを発足させる

承継まで数年間の時間があるなら(逆にいうと、数年間後に承継を控えているのなら)、

次世代戦略プロジェクトを発足させることをお勧めします。

 

取り扱うテーマは「次世代事業戦略づくり」と「次世代人材戦略づくり」です。

 

名称は社風に即したもので結構ですが、

要は事業戦略と人材戦略を並行して考えるということが大切なことであり、

その中心に後継者を指名してプロジェクトリーダーとするのが良いでしょう。

 

現社長は「オーナー」です。

求められた際のアドバイスと、各戦略の承認をするという立ち位置で

見守っていく意識をもっていただきたいと思います。

 

肝心なのはそれぞれの戦略を次期社長が自分の思いをもって組み立て、

自分の言葉として社内外に発信できるものをプロジェクトのゴールとすることです。

 

オーナーである現社長は「結晶知」の発揮を

最後になりますが、これをお読みいただいている経営者の方には、

承継後(社長交代後)にぜひ影響力を発揮していただきたいことがあります。

それは「結晶知」の伝授です。

 

結晶知とは

経験によって得られる結晶のように形成されてゆく知識・知恵のことを指します。

対義語は流動知といい、瞬間の判断力や計算能力などを指します。

流動知は子供のころに発達し一般的に若いほうが得意な領域です。

一方で結晶知は高齢になるほど発達してゆくものとされています。

 

第1回の本文にて事業承継の「世代間移行」をお話しました。

団塊世代から団塊ジュニア世代への移行ということです。

 

その際に次期社長よりも年上の経営陣の存在についてお話をいたしましたが、

私は「少々扱いが難しい関係性」とお伝えいたしました。

次期社長にとっては

自分よりも経験豊富な方たちであり、時にコントロールが難しくなるという意味です。

 

事業承継に際し、「企業を新しく生まれ変わらせる」「これからは若い世代が中心に」

といったメッセージを強く出しすぎると、

この世代と次期社長の間の不要な軋轢に繋がりかねません。

 

こうした問題を未然に察知し防ぐことができるのは「結晶知」です。

人の心を慮る、様々な価値観の人間の心情のバランスを考慮する

といったことに関しては圧倒的に「結晶知」が役立ちます。

 

「心の経営」の移行が円滑な事業承継の鍵を握る

事業承継のステップとして、

次期社長を中心とした「事業戦略の作成と人材戦略の実行」

についてお話をしてまいりましたが、

最後の仕上げは「心の伝授」だと私は考えています。

 

これをお読みいただいた経営者の皆様が、

株式の譲渡や経営権の移譲だけではない「心の経営」の移行を果たし、

円滑な事象承継を果たされる一助になっていれば幸いです。

ご清読いただき誠にありがとうございました。

[完]

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