中小企業のコストをかけない、効果的な人材採用・定着・育成法

フリーライター

吉田典史

第6回中小企業の管理職・幹部になる、ということ

社長が心から信頼できるタイプを選ぶべき

今回で、最終回となります。

 

中小企業で管理職や役員などの幹部をつくることの意味をあらためてまとめてみます。

 

大企業で管理職や役員になることと、中小企業でその立場になることは意味が違います。

 

多くの大企業では、全社員を対象とした定期の人事異動をしています。

大規模な範囲に及び、全国各地や海外に転勤する人もいます。

 

社長からすると、役員や管理職を大胆に組み替えることができるのです。

 

中小企業では、そのようなことはまずできません。

 

社長は、役員・管理職などの幹部と長いつきあいにならざるを得ないのです。

 

理想をいえば、幹部は仕事のレベルが抜群に高い人でそろえるべきなのですが、

何よりも、心から信頼できる人を据えるべきです。

 

もちろん、仕事はある程度のレベルに達していることが必要です。

仕事への姿勢が悪い人や向上心のない人、単なる「イエスマン」などは避けるべきです。

幹部をつくり、会社を育て上げるのは、社長の心

幹部である以上、仕事への姿勢がよく、社員らの模範にならなければいけません。

 

社長と意見を闘わせることがあっても、最後まで支えぬく意志があるならば、

管理職や役員の候補にしてもよいのではないでしょうか。

 

そんな広い心がないと、幹部をつくることはできません。

幹部をつくり、会社を育て上げるのは、社長の心なのです。

 

私が中小企業の社長を取材していると、

管理職や役員に、仕事などで完璧なものを求める姿をよく見かけます。

 

ご自身が厳しい中、孤独に耐え、会社をつくってきたこともあり、

幹部にも厳しく接するのかもしれません。

 

しかし、社長と役員・管理職は「運命共同体」であるものの、

実際は、別世界で生きているのです。

 

社長は、どこかで妥協することも必要なのではないでしょうか。

「妥協」は「許す」ことであり、「受け入れる」ことを意味します。

 

そのためには、心の底から信頼できる人を幹部にすることをお勧めします。

信頼できる人ならば、ミスがあろうとも「受け入れる」ことができるのはないでしょうか。

「何をもって業績・成果と呼ぶのか」

社長の最大の使命は、会社の業績を維持し、可能な限り、向上させていくことです。

 

目標の業績を達成するために、幹部らに厳しいものを求めるときもあるでしょう。

 

その際、最も時間をかけて話し合うべきは、

「何をもって業績・成果と呼ぶのか」であるべきです。

 

この「業績・成果」についての議論が不十分なのです。

ある会社の営業部では、「この商品でこのくらいの数字を稼ぐ」ことが

「業績」とされていました。

 

しかし、その「業績」は、今の時期には「会社にとって価値ある実績」とは

いえないのかもしれないのです。

 

社長は、幹部たちにもっと広い視野で深い議論をするように仕向けることが必要です。

 

たとえば、このような問いかけです。

 

「業績の中身をもっと考えて、詰めてください。

業績を上げるためには、実はこれまでとは違う商品を売り込んだほうがいい、という

意見も歓迎です。

そのくらいに柔軟に考えてほしい」

 

管理職や役員は、独自の考えをもっているはずです。

 

社長に遠慮して、それがいえないことがあるのです。

そんな気兼ねをしなくともいいように、言葉を投げかけてください。

 

社長が育てた幹部ならば、業績を上げていく力を十分にもっています。

それを信じてあげてください。

 

その広く、深い心が、会社の業績を確実に、着実に、堅実に上げていきます。

 

6回にわたり、おつきあいをしていただきまして、ありがとうございました。

[完]

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