韓国進出・海外ビジネスのポイント

PRコンサルタント
佐々木 和義

第6回 海外ビジネスにおけるコミュニケーション

ビジネス習慣の差異

日本の繊維メーカーが韓国の大手商社から製品提案を受けました。

 

価格が折り合わないため、「検討する」と回答して商談を終えました。

 

いまの条件では基本的にNGということを遠回しに伝えたのですが、

数日後、相手先から発送手配を終えたという連絡がありました。

 

日本では「検討する」という回答は、基本的にNGのニュアンスを含みますが、

韓国では「検討する」という回答は、基本的にOKの意味で使われます。

 

つまり、検討するという回答をOKと解釈して、さっそく手配したのです。

相手の勘違いとはいえ、いまさら返品もできないというので、大幅な値引きで決着し、

良い品を安く買うことができましたが、言った言わないのトラブルになりかねません。

語学力

日本全国でチェーン展開している小売店は、年間1000万人にのぼる訪日旅行者を

取り込むため、まず、中国でPRを開始しました。

 

旅行代理店とのタイアップが欠かせません。

 

現地旅行代理店との折衝やパンフレットの製作など、中国語の必要に迫られて、

日本に長く居住している中国人を採用しました。

 

また、日本で作った機械を世界中で販売し、各国でサポートスタッフを採用している

精密機械メーカーがあります。

 

言語が多岐に渡るため、日本の技術者がすべての言語を学ぶことは物理的に不可能です。

 

共通言語として英語を採用していましたが、いまは、日本語を共通言語としています。

 

日本の技術者は、英語など外国語を学習する時間が不要となったことで空いた時間を

さらなる技術の向上に充てています。

 

韓国のサムスンやLGなど韓国の大手では、日本から技術者を招聘していますし、

また、日本企業との合弁工場には、日本人技術者が常駐しています。

 

技術者は、韓国語はもちろん英語すらおぼつかない人が大半で、

日本語ができる人を通訳として採用しています。

 

語学力があると、コミュニケーションが取り易く、ビジネスがスムーズに進みますが、

日本ブランドの最大の強みは何と言っても品質です。

 

なかでもアジアはその品質を求めていますので、語学より品質が優先されます。

 

上述の精密機械メーカーも、世界が求める技術を日本がもっているため、

世界中のスタッフが競って日本語を学習しているのです。

 

アジアをはじめ、世界中に多くの日本語学習者がいます。

 

日本に留学している若者も多く、また、海外に出ている若い日本人もたくさんいます。

日本企業のアイデンティティを外国人に教えるのは大変ですが、

現地を熟視している日本人や留学経験者のなかには、

日本企業がもつアイデンティティの理解が早い人が少なくありません。

 

社員が外国語を勉強することも大切ですが、語学力がある人を採用して育てる方が、

早くて確実なことが多いことも知っておいてください。

 

 

6回連続で、韓国進出・海外ビジネスを検証しました。
お役に立てれば幸いです。

[完]

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