顔晴(がんば)ろう製造業 ~前向きな考えのススメ~

製造業の効率化の取り組み事例

今回は製造業の現場で行われている効率化の取り組み事例を1つご紹介します。

金型製作の効率化の取り組み事例

ものづくりの現場をITで省力化する事例です。

 

日本のものづくりにおいて重要な役割を担うものに「金型」があります。

 

この金型を構成している金型部品を加工する際に、

金型部品の取り代を計測する作業が必要となります。

 

取り代とは、切削加工するための余り部分を言います。

従来はこの計測作業は、ものさしを使って手作業で行われていました。

 

形状が複雑な部品や特に大型の部品を手作業で計測した場合、

・ 計測誤差が発生する

・ 多大な計測時間を要する

という課題がありました。

 

この課題解決のため、使用されたものが3次元スキャナー「デジタイザ」です。

 

デジタイザとは、計測対象物の外観の形状を即時にデジタルデータとして

コンピュータ上に再現できるものです。

 

これにより、計測作業の省力化や高精度化を図ることができる装置として
期待されているものです。

 

 

実際は、デジタイザを導入して上記の問題が直に解決した訳ではありません。

 

デジタイザは、特に大型の金型部品を計測する場合、

様々な箇所・角度から計測を行い、得られた複数のデータを貼り合せる必要があります。

 

そのため、

計測対象の金型部品に多数のマーキングを行うといった手間が発生し、

完全な自動化・省力化が図られていない状況でした。

 

これを解決する為に、自社で独自に測定治具を開発しました。

 

計測対象の金型部品の前に測定治具を置き、デジタイザで2つを同時に画像化することで、

マーキング作業を省略するというものでした。

 

このように金型製作の効率化を図るまでには、

単純に設備を導入するだけでなく、色々な問題の解決を図りながら進める必要があります。

 

よくいろいろな成功事例が紹介されますが、

同じ課題を抱えていても必ずしも同じ手法が改善に繋がるとは限りません。

事例はヒントとして捉える見方も必要かも知れません。

技術があれば事業で勝てるか?

ところで、「技術があれば事業で勝てるか?」と問われたらどう答えますか。

 

70年代、80年代においては「イエス」であったかも知れません。

しかし、90年代から現在に至まででは「ノー」です。

 

ソニー、パナソニック、シャープは技術がなかったのでしょうか。

 

各社とも技術の評価はきわめて高い企業でした。

しかし、産業競争力はきわめて低かったということです。

技術が産業競争力に活かせていないということです。

 

技術開発ばかり行っていて、

産業の生態系であるビジネスモデル、商品アーキテクチャー、産業モデル、

知財マネジメントのモデルのつくり方が遅れを取ってしまったからです。

産業の生態系が変わると全てを失う

今年の春、世界の大巨人コダックが倒れました。

 

銀塩写真が完全にデジタルカメラに取って代わられたからです。

フィルム会社が必要と無くなったことを意味します。

 

これから学ぶことは

 

どんなに要素技術ですごいといっても、

産業の生態系が変わってしまたら、生き残れないということです。

 

逆を言うと、

 

要素技術がそこそこであったとしても、

既存の産業の生態系とうまく共生すれば、生き残れるということです。

産業の生態系をつかむ

今は、「モノの所有からサービスの使用へ」価値体系や産業の生態系が変わると

言われています。

 

最初に事例紹介をさせて頂きましたが、

自社が生きている業界の生態系がどのように変わろうとしているのか、

これをつかむことが重要です。

 

大きな流れをつかんで、自社に適用していかなければ生き残れません。

 

事例の活用を否定するものではありませんが、ビジネスモデルを勉強して下さい。

 

たとえば、インテルのインサイドモデル、アップルのアウトサイドモデル、

IBMのソリューションモデルです。

 

最後に、皆様の会社が元気になり日本の活力へと繋がることを願っております。
5回にわたりお付き合いさせて頂きありがとうございました。

[完]

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