高収益をもたらす優良顧客の創り方

〜ロイヤルカスタマーは中小企業を救う〜

流通コンサルタント

高橋 秀樹

第1回 自分の事を喧伝する前に、お客様の事を知る

「ありがたいお客様」は誰なのか

「顧客を創造せよ」「お客様第一主義」「お客様は神様です」

お客様を大切にしようという経営哲学や理念は

異口同音に語られてきました。

 

これらはビジネスをする我々に

事業の根本を思い出させてくれる重みのある言葉ですね。

 

しかし、「お客様」とは一体誰なのでしょうか?

この事をより深く考えよと言葉を残した先哲が

問いかけてくる様です。

 

私たちは日々ビジネスをしている中で接する

お客様が大切であることは

当たり前のこととしてわかっています。

 

しかし、わかっているつもりになっているのに、

改めて分析考察してみないと本当の「お客様」について知らず

盲点になっているものです。

 

当然のことではありますが、

「お客様」という名前の「お客様」は存在しません。

ひとりひとり個々のお客様には大切な名前があります。

この個々のお客様は言うなれば「個客」といえます。

 

私たちにとって誰が真の「お客様」で、

なかでも特にお店に利益をもたらせてくれる

ありがたいお客様、すなわちロイヤルカスタマー

明確にする必要があります。

 

ロイヤルカスタマーをしっかり掴んだ企業は

経営が安定し未来の収益を約束してくれます。

 

なぜならロイヤルカスタマーは繰り返し利用してくれて、

しかも大切な友人までを連れてくる様な顧客だからです。

ロイヤルカスタマーは宣伝では創れない

集客の戦術や販売促進活動はあらゆる手法で実行されています。

テレビや街中やウェブに広告があふれ、

自分の存在を知ってもらうべく喧しく伝えています。

 

しかし、自分の存在を不特定多数の人に伝える前に、

まずは今利用して頂いているありがたいお客様の事を知ることが

重要では無いでしょうか?

 

不特定多数へのしつこい宣伝は

「お客様第一主義」という理念とは似て非なるものであり

却ってロイヤルカスタマーが知らず知らずのうちに去っているのかも知れません。

顧客の大切さは売上を分解して考える

企業は利益を出し続ける必要があります。

 

従業員に給与を支払い、株主に配当を出し、

税金を払い、地域や社会に貢献する為には

お客様に利用し続けてもらわなければなりません。

 

利益の基となるのは、もちろん売上です。

業績を上げる為に売上を分解して考えてみます。

 

売上を分解する際には「商品」視点と

「顧客」視点から考えることができます。

 

商品視点ですと、
 売 上  = 商品在庫数 × 回転率 × 商品単価

 

顧客視点では、

 売 上  = 個客数 × 利用頻度 × 客単価
となります。

 

実際に御社の数字を入れて分解をしてみてください。

 

過去数年または数ヶ月の推移で計算すると

ある要素は伸びているが、ある要素は減少しているなど

何が問題なのかがよく見えてきます。

 

回転率が悪くなっているのか、

商品単価が下がっているのか、

客数が減っているのか、

いかがでしょうか?

分解した結果を活かす

2015年度ABCマート、ファーストリテイリング、 良品計画などの小売業が
好決算となりました。

 


発表資料を基に売上を分解すると
客単価は上がっているものの客数は減少しています。

 

客数が減少することを察知した各社は、

値上げや高単価商品の企画販売で売上を伸ばしています。

 

ユニクロの値段が高くなったという批判がありながらも

業績を伸ばしているのは、

一部のバーゲンや安売りの時だけに利用するような

チェリーピッカーと呼ばれる様な人を相手にするのではなく

高単価商品でも納得して利用する人を増やしているのです。

 

セールや安売りで不特定多数の客数を上げるのではなく

優良顧客に繰り返し利用していただき

対価を満足してお支払い頂く

ロイヤルカスタマー創りが成功の近道です。

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