知らなきゃ損する知的財産権のノウハウ

弁理士 富澤 正

第4回 訴訟リスクを軽減する調査 ~製品開発前の調査の重要性~

私は、弁理士の仕事の他に、

アイデア発明を生み出し、製造販売するベンチャー企業を経営しています。

 

自分でベンチャー企業を経営し、知的財産権の重要性をさらに認識することができました。

知的財産権の重要性は、損をしないためだけではなかったのです。

 

今回は、その認識した重要性についてお話します。

ベンチャー企業を起こしてわかった知的財産権の重要性

アイデア発明の一つとして

「資格合格箸」という受験グッズを製造販売しています。

 

「資格=四角」、「合格=五角」の意味で、箸の形が四角形と五角形をした箸です。

「資格合格箸」に関しては、商標権意匠権といった知的財産権があります。

 

「資格合格箸」ができたのは偶然です。

弁理士試験の前日に奥さんが作った鯛の刺身を食べようとした時に

当時使っていた丸箸から鯛が滑って落ちたことがきっかけです。

鯛が箸から滑ったときに、鯛に対してイラついたのと同時に、

受験生が使う箸は角が必要だと気がつきました。

 

そして、初めに、五角形の箸の「合格箸」を考えました。

 

まず、特許調査を行いました。

すると、五角の箸は昔からあるため、権利がないことがわかりました。

商品を出す前に商標調査をしましょう

次に商標調査をしたところ「合格箸」は商標登録されていました。

 

「合格箸」として販売すると、商標権者から訴えられる恐れがあるため、断念しました。

 

商品を製造販売する際には、

あらかじめ特許庁の電子図書館で商標調査をしてください

 

インターネットの検索サイトで「特許庁電子図書館」で検索し、

初めての初心者用のところをクリックしていただけると

丁寧に調査の方法が書かれていますので1度お試しください。

 

万が一、商標調査をしないで販売を開始すると、

損害賠償と商品名の変更をする事態になる可能性があるからです。

 

例えば、第1回でもお話ししましたが、

堂島ロールを販売する「モンシュシュ」は、

商標権者のゴンチャロフの商標である「モンシュシュ」があったことで、
店名を「モンシェール」に変更、

さらに、ゴンチャロフに対し5100万円の損害賠償を支払っています。

 

「モンシェール」が商標調査をしっかりとしていればこのようなことはなかったでしょう。

そのため、訴訟リスクを軽減するためにも商標調査をしてください。

商標調査は新しいアイデアを生み出す方法です

また、商標調査は、新たなアイデアを生み出すヒントにもなります。

 

「合格箸」が五角形の箸として売られていることを調べて、

競合会社があることを知り、今までにない箸を作りだしました。

そこで生まれたのが一方の箸を四角形にした「資格合格箸」です。

「資格合格」について、商標調査をしたところ、権利がないため商標登録をしました。

 

「資格合格箸」も商標調査がなければ生まれなかったアイデアです。

 

このように、特許調査や商標調査は、訴訟リスクを軽減します。

さらに、新たなアイデアを生み出すヒントにもなります。

 

そのため、新しい商品を製造販売するときには、

特許調査や商標調査を利用して製造していくことをおすすめしています。

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