部下が育つ人材育成の基礎知識

デライトコンサルティング株式会社

代表取締役 近藤圭伸

第2回 部下育成と人事評価

人事評価の目的を知り部下と共有する

部下育成と人事評価はもろ刃の剣の関係です。

なぜなら、上司の評価とフィードバックいかんで、

部下をやる気にさせるか、腐らせてしまうかを決めてしまうといっても過言ではないからです。

 

人事評価はできればしたくないと、多くの上司が思っているかもしれません。

上司にこのような思いが少しでもあれば、人事評価はしないほうがよいと思います。

 

それはさておき、人事評価には目的があります。

まず、上司がその目的を理解し、部下と共有することが何より大切です。

 

人事評価の目的は次の4つです。

  1. 「人材の育成」
  2. 「公正な処遇」
  3. 「適材適所の配置の実現」
  4. 「経営理念や方針の浸透」

 

この目的の中でもっとも重要なのが①「人材の育成」です。

上司は人事評価を部下の育成のためにと思って実施し、
その成長に向けて具体的にフィードバックする必要があります。

 

部下にとって自分の成長につながる上司のフィードバックは、

誰もが喜んで受け入れてくれるはずです。

 

かりに上司がつけた評価が悪くても、

上司がどうすれば部下が成長するかを考えて、部下にアドバイスをすれば

信頼関係は深まっていきます。

上司が評価者としてエラーをおこしてはいけない

上司が人事評価を実施するときには、

評価エラーを極力起こさないようにしなければなりません。

特に、次のようなエラーは上司がよく無意識のうちに陥るものです。

 

【人事評価の代表的なエラー】

 

【ハロー効果】
印象深いエピソードや全体のイメージに惑わされ、

他の部分も引きずられて評価をしてしまうエラー

 

【中心化傾向】

無意識のうちに真ん中(可もなく不可もない)の評価に集中してしまうエラー

 

【寛大化/厳格化傾向】

個人的な感情や好き嫌いで、温情的に甘くつけたり、逆に辛くつけたりするエラー

 

【対比誤差】

自分(評価者自身)を基準におき、その比較で評価するエラー

 

そもそもこれらのエラーを大きく起こしてしまっては、

人事評価をする意味がまったくなくなってしまいます。

 

しかし、上司が知識としてあらかじめこのことを知っていれば、

人事評価のエラーは比較的予防でき、より公正な人事評価に近づけることができます。

絶対評価と相対評価を間違えない

もう一つ人事評価で重要なことは、絶対評価と相対評価の違いを上司が理解しておくことです。

 

絶対評価は人事評価を行う際、評価対象者の「行動や能力」「成果」などを

会社が定めた人事評価基準や上司と部下で決めた基準に照らして評価を行うことです。

 

一方、相対評価は他の部下や社員の「行動や能力」「成果」などと比べて評価を行うことです。

 

よく、上司が付けた評価と最終的に会社が付けた評価が異なることがあります。

このことを部下は大変疑問に思うでしょう。

 

しかし、会社には昇給や賞与の原資が限られているため、

あらかじめ成績ランクごとに一定割合を決めておき(例えば、「A」は社員の10%、

「B」は社員の60%など)、この割合をもとに上位の高得点獲得者から順に成績ランクを

決めることをしている会社もたくさんあります。

 

もし、会社がそのように成績ランクを決めているとしたら、

そのことを前もって部下に伝えておかないと部下の誤解をまねき、

やる気を削いでしまうことになってしまいます。

 

上司であれば相対評価のことをその場で説明できるくらいの知識をもつことが必要です。

 

「私はAと付けたのに、会社が君の評価を下げた。残念だ」などとは、

決して言ってはいけません。

 

このような場合は、

「君は私と決めた目標をクリアできたのだから、私は君のことをとても評価しているよ。

 

会社は相対分布というルールで最終的な成績ランクを決めているから、

今回は君より成績を上げた同期がいたということなんだ」と言えば、

モティベーションを落とすことはありません。

また、逆にやる気が向上する部下もいるほどです。

 

次回は「部下の昇進とキャリア形成」についてお伝えします。

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