できる人の仕事ぶり、改善の在り処を探る ~あきらめない職場づくり~

株式会社エフェクト
石井住枝

見える化と視える化で人財育成

なぜミスが起こってしまうのか

「ミスはなぜおこるのかを考える」

 

誰がミスをしたかの問題ではなく、

ミスが起こってしまう本質の原因を見つけない限り、また同じことがおこります。

 

5回のなぜ? を使って原因究明をしていく中で本質の問題点を探していきますが、

大切な事は、責任追及ではなく、しくみや仕事のやり方の問題点に視点を置きます

やり方が悪いのであれば、なぜそのやり方を今まで行ってきたのか、

ミスは誰でもするから、フォローやダブルチェックするしかけがあったのか。

 

ミスを二度と起こさないために、職場全員で考え、知恵を出し、

今回のミスを防ぐしくみに落とし込み、同じことを繰り返さないルールを決めます

そして、決めたルールを職場全員で徹底して守ります。

ここまで行って、初めて同じミスを二度としない仕組みにできたことになります。

もちろん、またミスが起きてしまった場合は、まだ見逃している要因あるはずですから、

同じようにやり方の知恵を絞ってルール作りをしていきます。

 

トヨタでの「視える化」は、問題の顕在化、ミスを誰でもが分かるようにすることです。

現場での私のミス

私が、現場の塗装工場で働いていた時、私は大きなミスをしました。

 

ラインに流れてくるボディの塗装を点検する仕事をしていた時、

左手に薄手の手袋、右手に紙やすりをもち、順番に流れてくる車のボディの一台一台を

左手でボディ全体を撫でていきます。

時々、空気中のほこりなどによって、塗装の塊ができてしまうことがあります。

目でみても分かりづらいもので、手袋をつけた手のひらで触り、引っかかりで見つけます。そして右手に持っている紙やすりで削り、削った個所に印をつけるのが私の役割でした。

私は、小さな塊を見逃してしまったのです。屋根の真ん中のあたりです。

 

実は、私の背の高さは156センチしかありません。

手を目いっぱい伸ばして、確認していたつもりだったのですが、見逃してしまいました。

 

翌日の朝礼の中で、上司から私が見逃してしまったミスについての話がされました。
みんなの前で話をされたので、真っ赤になってしまい、涙が出そうになりました。

「なぜ、ミスをみんなの前で話をするか」恥ずかしくて仕方がありませんでした。

 

しかし、そのあとで理由が分かりました。

当事者は恥ずかしくてたまりませんが、だからこそ気をつけるようになります。

 

そして、私の前後の工程で仕事をしている方が、

私のミスを犯しやすい場所を確認していてくれて、声をかけてくれるようになったのです。

 

また、私のあとの点検工程では、蛍光灯を明るく照らし、さらなる傷がないか

バフなどの機材を使いひとつひとつ、丁寧に磨きあげる姿がありました。

 

私のひとつのミスが周りにどんなに影響があるのか、身を持って感じた瞬間でした。

使わないマニュアルは排除する

私にとっては苦い経験となりましたが、視得る化、つまり問題の共有化することで、

ひとつのチーム、工程の中からミスをださない仕組みにしていくことがみえる化なのです。

 

一般的な標準化とトヨタの標準化の違いは、作業標準書にありました。

 

日常に実際使っている数字を標準に作業のレベルに合わせた値を示しているものが

作業仕様書・標準書として現場につりさげられていました。

 

マニュアルや引き継ぎ書は、時には必要な時もあります。

しかし、一度も開くことのないマニュアルをつくる時間はもったいないと思います。

 

例えば、日常使っている帳票などに注意事項やポイントなど書き加えたものが

手順書として活用され、チェックリストで補う事ができれば、十分だと思います。

みえる化で人材育成

視える化は問題点の共有化ができますが、

使い方を間違えてしまうと責任追及をしてしまいますので、

活用方法をしっかり整えておかねばなりません。

 

しかし、うまく使えば助けあいのできる協力体制のいい職場を創ることができます。

 

トヨタの人財育成は、特別な技術やスキルが必要なものではありません。

当たり前の事、決めた事を素直に守り、全員で徹底して実行する。

やりにくいものは、カイゼンしよりよい仕掛けに変えているだけです。

 

円安になり、業績を伸ばしていますが、今だからこそ、おごる事なくひとつひとつ、

小さな努力の積み重ねが大切なのだと思います。

 

全ての人に才能があり、能力があります。

苦しい時にこそ人を育て、助け合い、考える力を大切にすることこそが、

会社の財産になるのだと思います。

 

 

6回にわたりお届けしてまいりましたが、本日で最終回となりました。

何か少しでもお役にたてるものがあれば嬉しく思います。

ご質問などあればお気軽にメールにてご質問くださいませ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。感謝

[完]

 

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