景気指標を読み解き経営に活かす方法

富士山産業の状況を確認する

ファイナンシャルプランナー

長谷 剛史

今回の指標

 

「富士山産業」という言葉をご存知でしょうか。

富士山の雪がかぶっている部分がメーカーで、その下に関連会社という裾野が大きく

広がっている業界です。

裾野が広いだけに、富士山産業の指標の上下とともに業績が左右される会社も多いです。

そのため、富士山産業の指標は景気を見るうえで最も重要になります。

その「富士山産業」と呼ばれる業界が2つあります。

それが、自動車業界と住宅業界です。

新車販売台数(国内)

国内の自動車業界を見るときは、景気指標欄の左側上から3段目中央付近に掲載されている

「新車販売台数」に注目します。数字は乗用車と軽自動車の新車販売台数合計です。

景気の良し悪しの目安は500万台です。
500万台を超えてくると本格的に日本経済が成長段階に戻ったということができます。

 

ここ数年の数字は以下の通りです。

 

リーマンショック(2008年9月)の影響がいかに大きかったのかがわかります。

政府がエコカー減税・補助金政策を実施していますが、販売が回復しているとは言えない状況が続いています。

自動車販売(アメリカ)

実は日本の自動車メーカーの業績は、アメリカをはじめとする海外市場に依存する割合が

増加しています。
アメリカの新車販売台数も、景気指標欄右側上から2番目中央付近に掲載されています

(4週に1度)ので、こちらも確認します。

 

ここ数年の数字を確認すると以下の通りです。

 

リーマンショックで大きく落ち込みましたが、その後は増加していることがわかります。

直近の新車販売は前年の同時期に比べ10か月連続プラスとなり、アメリカ経済が順調に

回復している一つの証拠であると言えます。

しかし、ガソリン価格が高騰すると、消費マインドに影響を及ぼす可能性がありますので

注意が必要です。

新設住宅着工・マンション契約率

住宅業界を見るときは、景気指標欄の左側上から2段目右側付近に掲載されている

「新設住宅着工」・「マンション契約率」に注目します。

 

「新設住宅着工」新築時に都道府県知事へ工事の届け出をした件数

 

自動車産業と同じようにリーマンショックにより大きく落ち込んでおり、

回復途上であるということが言えます。

 

「マンション契約率」新築分譲マンションの契約率

ここ数年の首都圏の数字を見ると以下の通りです。

 

景気の良し悪しの目は70%です。

とはいえ、この率が高ければマンションの売れ行きが好調というわけでは必ずしも

ありません(マンションの新築件数を抑えると分母が減り、率が高くなるため)。

しかし、景気を先読みする参考になる数字であることは間違いありません。

木金土相場

景気指標欄の右下に内外商品相場が掲載されています。

この商品市況は、メーカーなど「川中」に位置する企業の原価が載っており

この中に1年先を見通せる数字があります。

住宅業界の方は勿論ですが、今後の景気を占う上で注目したいのが「木金土相場」です。

 

木 … 内外商品相場2段目中央付近の「合板」という品目。
金 … 内外商品相場1段目中央付近の「H型鋼」という品目。
土 … 内外商品相場4段目右側付近の「セメント」という品目。


合板もH型鋼もセメントも工事の1年前に手配することが多いので、

これらの数字が動き始めたら色々な工事が始まるというシグナルになります。

 

直近1年を見ると、3つの品目は昨年の東日本大震災後に高値をつけ、

合板とH型鋼はここ数か月に安値をつけています。

今後、この3つの品目が上がっていけば、本格的に景気が回復してくる可能性が高い

と言えますので要注目です。

 

日本の景気を先読みし経営に活かすために、今回取り上げた富士山産業の動向は是非

チェックしてください。

今後の売上予想・仕入時期等にも活かすことができます。

 

第3回は、ヒト・モノ・カネの内、「ヒト」に関する景気指標を見ていきますので、

楽しみにお待ちくださいね。

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