2026.01.13
寺尾会計の税務的な毎日
令和8年度 税制改正大綱
令和7年12月26日に令和8年度税制改正大綱が閣議決定されました。
今回の大綱は、「物価高」への対応と
「強い経済」「世界で輝く日本」の実現に向けた改正事項が盛り込まれました。
以下に、今回の大綱において注目した改正事項を抜粋しました。
【青色申告特別控除】 P25
・複式簿記により記帳していてもe-taxで申告しない場合、55万円の特別控除が受けられない
・一定の条件に加えて、電子帳簿保存法に従って電磁的記録の保存等を行っていると、特別控除は75万円となる
・所得金額が1000万円超の事業を行っている者が簡易な記帳をしている場合、10万円の特別控除が受けられない
【相続税等の財産評価の適正化】P52
・課税時期前5年以内に取得した一定の貸付用不動産の価額は、取得価額×80/100等により計算する
(現行より評価額が上がると想定される)
※この改正事項を背景として「早めのアパート取得」を建築業者から勧められるケースも考えられますが、貸家の建築は長期的な収支見通しや資産形成への影響を踏まえた上で、慌てず慎重に検討することが重要です。
【物価高対策】
・所得税の基礎控除や給与所得控除の引上げ P2
・物価指数に連動して継続的に基礎控除額等を変更する仕組みの創設 P2
・住宅ローン控除の延長(増改築に係るものは廃止) P5 P16
・長距離の通勤手当、従業員への食事の手当に対する非課税額の引上げ P29、P30
【強い経済】
・個人事業者及び中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の金額変更
※ 30万円未満→40万円未満へ P56
・特定生産性向上 設備等投資 促進税制の創設 P56
・大企業の賃上げ税制の廃止、その他の企業の賃上げ税制の要件の変更 P64
・NISA口座の口座開設可能年齢の下限の撤廃 P18
【高額所得者向け】
・ミニマムタックスの改正 P25
基準所得金額が1億6,500万円(現行:3億3,000万円)を超える方を対象として、超える部分の最低所得税率を30%(現行:22.5%)に引き上げる
・高額所得者のふるさと納税の上限額の創設 P32
【年金を受給しながら給与をもらう方向け】 P30
・給与所得と公的年金等の控除額の合計が280万円を超える場合には、超える部分の金額を公的年金等控除額から控除する
例:年齢65歳、給与収入850万円、公的年金110万円の場合、控除額が25万円カットされる
例:年齢65歳、給与収入600万円、公的年金110万円の場合、控除額はカットされない
【消費税】
・海外から通販で送られる少額商品(1万円以下)についても課税対象とする P89
・インボイス発行事業者の納付税額の特例(2割特例)を個人事業者に限り3割特例にしたうえで、期間延長 P93
・インボイス登録事業者でない者からの仕入税額の経過措置の控除割合の変更と延長 P93
【防衛特別所得税(仮称)の創設】P106
防衛特別所得税として、当分の間、基準所得税額に1%の税率で付加する
復興特別所得税の課税期間を10年延長した上で、税率を1.1%(現行:2.1%)に引き下げる
税制改正による増減収見込額表(P120)によると、
所得税は減収見込み(4000億円)、法人税と国際関係は増収見込(4,300億円)となっています。
一方、地方税関係は減収見込(▲7400億円)です。
地方財政についてプライマリーバランスの黒字が続いていて回る見込みとのことですが、
各地方自治体の今後の財政状況も気になるところです。
参考HP:
財務省 令和8年度税制改正の大綱の概要
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_gaiyou.pdf
財務省 令和8年度税制改正の大綱
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf
文中のページ数は税制改正大綱の該当ページです。
金融庁 片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(地方分の減収について)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2025b/20251226-1.html
