2025.10.28
確定申告よもやま話
家族状況に変わりがなくても、今年は扶養控除の適用があるかもしれません【所得税】
今年も年末調整の季節が巡ってまいりました。
年末調整、確定申告のいずれの場面においても、
配偶者控除や扶養控除など、所得税を軽減できるさまざまな制度があります。
これらの控除を受けられるかどうかは、本人や配偶者、扶養親族の「合計所得金額」が大事な要素です。
この「合計所得金額」の認識を誤ると、本来受けられる控除が受けられなかったり、
逆に、受けられない控除を受けてしまい、税務署から指摘を受けることにつながります。
令和7年(2025年)については、
控除対象となる親族などの合計所得金額が48万円から58万円に引き上げられたり、
特定親族特別控除が新設されるなど、所得控除に大きな影響を与える税制改正が行われました。
ですから、前年には受けられなかった控除を受けられる可能性もあります。
ご家族の状況に変化がなくても、「昨年と同じ」と思い込まず、
あらためて『合計所得金額』を確認しましょう。
適正な税額計算のために、今回は『合計所得金額』について整理してご案内します。
『合計所得金額』とは、『その年中の所得金額の合計額』をいいます。
『所得金額』とは、『その年中の収入金額 - 必要経費』をいいます。
給与、退職手当、公的年金における『収入金額』とは、『総支払金額』を指します。
つまり、税金や社会保険料などの各種控除がされる前の金額、天引き前の金額です。
手取り額や口座への振込額ではない点にご注意ください。
また、給与所得、退職所得、公的年金には必要経費の概念がありませんので、
必要経費に代わる法令で定められた控除額を差し引くことで、合計所得金額を計算します。
令和7年分の給与所得の法定控除額は次のとおり計算します。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
| 1,900,000円まで | 650,000円 | |
| 1,900,001円から | 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から | 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から | 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) | |
退職所得の所得控除額はこちら
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
公的年金の所得控除額はこちら
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
配偶者特別控除や特定扶養親族特別控除の控除額は、この合計所得金額に応じて細かく段階的に変動します。
そのため、配偶者や扶養親族にアルバイト収入や年金収入などがある場合は、見込みの所得金額を正確に把握して、年末調整でのミスを防ぎましょう。
また、確定申告に際しては、ご家族の源泉徴収票の金額を確認しましょう。
参考HP:
国税庁 Ⅰ 昨年と比べて変わった点(基礎控除の見直し等)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/pdf/102.pdf
