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コラム

2025.07.23

家督相続 〜円満な相続のために〜

配偶者贈与って やったほうがいいの?

相続税対策として、有名なものの一つに配偶者贈与があります。

これは、正しくは『贈与税の配偶者控除の特例』といい、
贈与価格2,000万円までは贈与税が課税されないという制度です。

通常、夫婦間で2,000万円の贈与をおこなうと、贈与税を695万円納税する必要があります。
また、贈与せずに相続時に遺産として2,000万円を取得した場合、
相続税率が40%の方は、単純に考えると、相続税を800万円納税する必要があります。

そう考えると、相続税が課税される方は、この贈与の節税効果を感じられるのではないでしょうか。


この配偶者贈与は、次の要件をすべて満たす場合に適用されます。

①贈与者との関係 : 配偶者(贈与日において婚姻期間が20年以上)
②贈与財産    : 居住用土地 or 居住用建物 or 居住用不動産を取得するための金銭
③居住要件    : 贈与した翌年の3月15日までに居住していること
④居住要件    : 今後も引き続き、その居住用不動産に居住する予定であること

なお、同じ配偶者からこの特例の適用を受けられるのは1回のみです。

20歳で結婚した配偶者Aから40歳でこの特例の適用を受ける
60歳で再婚した配偶者Bから80歳でこの特例の適用を受ける
この場合は一生で2回この特例の適用を受けることができます。


この特例の適用を検討するにあたって、いくつか知っておくべきポイントをご紹介します。

①暦年贈与の基礎控除額110万円も適用されるため、2110万円までは贈与税が課税されない
  ただし、この特例の適用を受ける年分において、他から贈与を受けていない場合に限ります

予想される相続税率が高い方は、2110万円を超えて贈与すると長期的には納税額が減少する
  配偶者贈与に合わせて、相続税率>贈与税率の範囲での贈与を実行することも有効です

③土地・家屋を贈与した場合、登録免許税・不動産取得税(地方税)は課税される
  贈与税(国税)は課税されませんが、地方税は通常通り課税されます
  配偶者贈与に伴う地方税額は、固定資産税評価額×3.5%で概算額が計算できます

④土地・家屋を贈与で取得した場合より、相続で取得した方が地方税は低率となる
  相続により取得した場合の地方税は、固定資産税評価額×0.4%です
  贈与の場合と比較すると、3.1%も税率が低下します

⑤金銭を贈与で取得した場合、これから建築・購入する土地建物の価額は贈与された金額よりも低額で評価される可能性が高い
  土地の贈与・相続時の価格は支払金額の8割程度
  建物の贈与・相続時の価格は実際の支払金額の5~7割程度となる場合が多いです
  金銭2000万円をもらうより、不動産を2000万円分をもらう方が有利な場合もあります

⑥相続税の計算では、小規模宅地等の特例の適用がある
  被相続人となる方が所有し、居住していた建物の敷地を配偶者が相続時に取得する場合には
  330㎡までの土地の価額が8割減額されます。

  例えば、土地の価格2000万円(面積200㎡)で、相続税率10%の場合
  相続時に取得すると、国税地方税合わせて納税額は48万円
            (2000万円×0.2×10%+2000万円×0.4%)実質の税率は2.4%
  配偶者贈与で取得すると、国税地方税合わせて納税額は70万円
            (0円×0.2×10%+2000万円×3.5%) 実質の税率は3.5%

⑦相続税の計算では、配偶者の税額軽減がある
  配偶者が相続により取得した財産にかかる相続税は一定程度まで相続税がかかりません
  上記⑥の例でいえば
  相続時に取得すると納税額が8万円(地方税のみ)実質の税率0.4%になる場合もあるということです


いずれも計算をシンプルにしていますし、状況や課税される相続税率はご家族によって異なりますから
上記の情報だけでは一概に贈与が有利か、相続が有利かということはできませんし、
説明しきることもできません。

しかし、配偶者贈与により絶対に節税になるとは限らないことと
地方税は納税しないといけないということは 少なくとも言えます。

相続税対策の効果も見込んで配偶者へ自宅を贈与したいと考えられた際には
実行前に税理士へご相談ください。
  

参考HP:国税庁 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm

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