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コラム

2025.05.02

寺尾会計の税務的な毎日

見えない取引に注意!『低額譲渡』

課税取引の中には、一般的には取引と考えられない取引もあります。
今回はそのうちの一つである『低額譲渡』についてご紹介したいと思います。

低額譲渡とは、資産を時価よりも著しく低額で譲渡することをいいます。

例えば、時価が1,000万円の土地を、200万円で譲渡した場合には低額譲渡となります。

時価とは何か、時価はいくらかという点については議論のあるところですが
今回は「時価とは、通常成立する取引価額」とご認識ください。


通常、個人間において譲渡が行われた際に課税されるのは、所得税です。

[ケース1]
父が子に、時価が1,000万円の土地を、1,000万円で譲渡した場合
単純に計算すると、父の所得税額は200万円です。
(所得税額200万円=譲渡対価1,000万円×所得税率20%)

低い価額での譲渡の際にも、所得税は通常の譲渡と同様に課税されます。

[ケース2]
父が子に、時価が1,000万円の土地を、600万円で譲渡した場合
単純に計算すると、父の所得税額は120万円です。
(所得税額120万円=譲渡対価600万円×所得税率20%)

著しく低い価額での譲渡(低額譲渡)の際にも、個人間での取引であれば、
所得税は通常の譲渡と同様に課税されます。

[ケース3]
父が子に、時価が1,000万円の土地を、200万円で譲渡した場合
単純に計算すると、父の所得税額は40万円です。
(所得税額40万円=譲渡対価200万円×所得税率20%)
※低額譲渡の際に留意すべき所得税の規定もありますが、今回は説明を割愛します。


個人間において低額での譲渡がなされた際に課税される、通常の譲渡では課されない税目が、贈与税です。

時価が1,000万円の土地を、600万円で譲渡した場合、差額の400万円は贈与したものと捉えられます。

時価と比較していくらが「著しく低額」に該当するかは、所得税と贈与税で判断基準が異なるため、
贈与税における低額譲渡に当たるかどうかの検討は慎重に行う必要があります。

例えば、母が土地1,000万円を所有したまま相続が発生すると、その土地の価額は相続税の対象となります。
もし仮に、母が娘へ土地1,000万円を600万円で譲渡しても贈与税が課されないとすると、
差額の400万円について課税の機会が失われることになってしまいます。

上記の例の場合には、母が所得税額120万円を、娘が贈与税額30万円を納めることとなります。

低額譲渡は、贈与税の申告が必要であると気付きにくい取引ですので、注意が必要です。


法人に対して低額譲渡がなされた場合、
時価の2分の1以下で譲渡がなされた場合、
第三者間で特別な事情があって時価より低い価格で譲渡された場合など
場面に応じて低額譲渡に関する注意点は、上記以外にも多くあります

取引価額が低い、取引価額が高い、条件付きの譲渡など
通常でない取引が行われる前には、税理士に相談されることをお勧めします

参考HP:
国税庁 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4423.htm

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