2026.02.23
寺尾会計の税務的な毎日
確定申告だけでは足りない?償却資産申告の必要性
お客様とお話をする中で「償却資産申告と所得税の確定申告の関係がよく分からない」
とご相談をいただくことがあります。
「確定申告でも減価償却資産を記載しているのに、なぜ別に償却資産申告が必要なのか」
疑問に感じる方も少なくないのではないでしょうか。
償却資産申告は、事業用として使用している減価償却資産を市町村へ申告することです。
そこで提出される申告書は、償却資産税を賦課するための基礎資料となります。
償却資産申告に基づき課税される税金を一般的に「償却資産税」と呼びますが
これは正式名称ではなく、「『固定資産税』のうち償却資産に対するもの」の通称です。
固定資産税は「土地や家屋に対して課税されるもの」という認識の方もあると思いますが
実際には、土地・家屋に加えて、事業用資産に対しても課税されています。
固定資産税の課税対象となる土地・家屋は、用途に限らず、所有していれば課税されます。
一方、機械・備品・工具などの償却資産については「事業に使っている」場合にのみ課税されるという違いがあります。
固定資産税は、その年の1月1日時点で所有している資産について課税されます
土地や家屋については、登記情報などにより市町村がその所有者を把握できるため、
納税者が申告する必要は原則ありません。
一方、事業用資産は、市町村が自動的に把握できないため、
事業者自身が、その年1月31日までに申告する仕組みとなっています。
長年に渡り事業用資産の増減がない方も多くおられるため
「市町村から送られてきた申告書をそのまま提出して何の意味があるの?」という疑問を持たれるのも
もっともです。
では
「所得税の確定申告でも償却資産を記載する欄(決算書の3面)があるのになぜ償却資産申告も行う必要があるの?」という疑問についてはどうでしょうか。
その理由はいくつかありますが
まず1つ目は、所得税は国税であり、償却資産税は市町村税であるため、課税する行政が異なることです。
2つ目は、確定申告で計上する減価償却資産の範囲と、償却資産申告の対象範囲が一致しない点にあるでしょう。
たとえば、建物や自動車は、所得税の計算上は減価償却資産として計上します。
一方、償却資産申告において建物や自動車は申告しません。
これは、建物には別途「土地・建物に係る『固定資産税』」が課税されているからです。
また、自動車についても、別途 自動車税が課されているため、事業用として使用していても償却資産申告の対象にはなりません。
他のケースとして、取得価額30万円未満の資産があります。
取得価額30万円未満の資産は、確定申告では、一定の要件を満たせば、資産として計上しないことができます。
一方、償却資産申告においては、その特例は適用されないため、その資産も事業用資産の増加として申告する必要があります。
3つ目として、償却資産税は4月1日に通知しなくてはならないため、所得税の確定申告の期限である3月15日の後に償却資産の増減を市が把握したのでは通知が間に合わないという実務的な必要性もありそうです。
このように、似て非なる所得税の確定申告と償却資産申告。
償却資産申告を行わずに、所得税の減価償却資産として計上された償却資産については後日市町村から問い合わせがあります。
償却資産申告について理解することで、適時適切な申告をしていきましょう。
