2025.10.23
社長応援日記
下請さんに手形払ができなくなります 令和8年スタート
今回は令和8年1月1日から施行される取適法(とりてきほう)についてご紹介します。
社会全体で、近年の急激な物価上昇を上回る賃上げを実現するためには
サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させることが必要である、という認識のもとに
下請法が改正され、取適法が成立しました。
取適法の正式名称は
「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」
略して「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」といいます。
中小受託取引の公正化と、中小受託事業者の利益保護を目的とする法律です。
「中小受託」はこれまで「下請」と表現していた取引を指します。
取適法の適用対象となる取引は、次の2つを両方とも満たす取引です。
①取引の内容が次のいずれか(P9)
・製造 委託
・修理 委託
・情報成果物作成 委託
・役務提供 委託
・特定運送 委託 <NEW>
②事業者の規模が次のいずれも満たす(P20)
・委託側(=親事業者)が大企業・中堅企業である
・受託側(=下請事業者)が中小企業・フリーランスである
※事業者の規模の判定基準に「従業員基準」が加わりました
取適法に規定される禁止行為は11項目あります。
中でも、実際の取引において最も大きな影響を及ぼすのが「手形払の禁止」であると考えます。(P37)
現行の下請法においても、
下請代金の支払期日を、発注した部品等の受領後60日以内に定めることが義務づけられていました。
しかし、支払期日に手形を交付することにより、代金の支払日を60日より実質遅らせることができました。
これにより、受託側の資金繰りを悪化させることが問題視されてきました。
すでに令和6年10月から
手形等により下請代金を支払う場合には手形等のサイトを60日以内に短縮することを求められていますが、取適法においては、手形の交付が禁止事項となりました。
これまで手形を交付してきていた事業者は資金繰りを抜本的に見直しする必要があります。
上記のほか、主な改正内容には次のものがあります。(P34)
•価格協議に応じない一方的な代金決定の禁止
代金に関する協議に応じない、必要な説明・情報提供をしないことは許されません。
・代金の支払遅延の禁止
取適法では、発注した部品等の受領日から60日以内に代金全額を【現金相当物】で支払わなければなりません。
支払期日は、締切日や物品等の検査合格日から60日以内ではないため注意が必要です。
•受託側に責任がないのに、代金を減額することの禁止
振込手数料を受託者に負担させる行為は、合意の有無にかかわらず違反です。
協賛金の徴収、原材料価格の下落といった名目や方法に関わらず減額行為とされます。
取適法の施行まであと2ヶ月です。
まずは取適法の概要を理解して、自社に取適法の適用対象となる取引があるかを確認しましょう。
そして、取適法の対象となる取引がある場合には
委託契約書・支払条件の再点検や、社内規程・発注システムの改定を行うとともに
担当者への周知を図っていきましょう。
中小企業庁 公正取引委員会の「改正ポイント説明会」資料
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/251014_01.pdf
※文中のページ数はこの資料のページ数です
2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!
https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf
