2025.08.13
家督相続 〜円満な相続のために〜
デジタル遺言と自筆証書遺言
皆さんは、遺言を書かれたことはありますか?
もしもの時に備えて生命保険に加入するように、
もしもの時に備えて遺言を記しておくことは、遺される方の負担を軽減させる効果があります。
特に、未成年のお子様がある方や外国にもルーツがある方、
疎遠となっている推定相続人、認知症の推定相続人がある場合などにはとても有効です。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
このほか、特別の方法として、隔絶地遺言、危急時遺言、領事方式遺言があります。
このうち、自筆証書遺言であれば、ご自宅で気軽に簡単に作成することができます。
間違っても書き直せばよいですし、気が変わっても書き直せばよいので気楽な遺言形式でもあります。
自筆証書遺言の特徴のひとつは、全文を自筆で記載することです。
ところが、令和5年12月に行われたアンケート調査(対象人数1050人)によると、
遺言の内容の全文を手書きしなければならないという理由で、
自筆証書遺言を作成するのをためらったことがある人は、86人
同じ理由で、もし作成するならためらうだろうと思う人は、379人
合わせると44%の方が全文を手書きすることをためらうという結果となりました。
その結果や諸外国の現況も踏まえ、
法務省の法制審議会は「デジタル遺言」を認める方向で、この7月に中間試案を公表しました。
デジタル遺言における大きな課題は、本人が作成したことをどのように証明するか(真正性の確保)です。
真正性を確保するために、電子署名をした上で公的機関に提出する案などが検討されています。
全文自筆でなくてよい代わりに、電子署名などの手数が増えることを考えると、
一般的に、まだしばらくの間は、これまで通り全文自筆の遺言を作成する方が手軽と考えられます。
今年もお盆の季節がやってきました。
お盆は、町の動きが日常と異なる時期です。
いつもと違う環境では、いつもはやらないことにも手がつけやすいものです。
今年のお盆は遺言書の作成を手掛けてみてはいかがでしょうか。
参考HP:
政府広報オンライン 知っておきたい遺言書のこと。無効にならないための書き方、残し方
https://www.gov-online.go.jp/article/202009/entry-7835.html#columnSection1
法務省「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」(令和7年7月15日)の取りまとめ
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00299.html
法務省 民法(遺言関係)等の改正に関する 中間試案の補足説明
https://www.moj.go.jp/content/001443959.pdf
法務省 遺言制度のデジタル化に関する調査研究報告書
https://www.moj.go.jp/content/001418342.pdf