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コラム

2023.06.13

寺尾会計の税務的な毎日

マンションの相続税評価の適正化の動き

去る6月2日に国税庁からマンションに係る財産評価についての情報が発表されました。

マンションの価額については、
市場での売買価格と、通達に基づく相続税評価額との間に大きな乖離が生じていることが
ここ数年、税務業界において問題視されてきていました。

そんな中、令和4年4月19日に最高裁においてマンションの評価に関するある判決が下されました。
その判決についての詳細な説明は今回は割愛しますが、
この裁判例でも、市場での時価と相続税評価額との大きな乖離を利用した租税の回避が問題となりました。

こうした流れを受けて、令和5年度税制改正の中では、
マンションの相続税評価の適正化を検討する旨がうたわれていました。

今回、その検討の過程として有識者会議が開催されたというわけです。


この資料によれば、マンションの市場価格と相続税評価額との乖離は次のとおりです。
平成25年 1.75倍 → 平成30年 2.34倍

つまり、平成30年では2億3千万円で購入したマンションが、相続税の評価では1億円となるわけです。
これを相続の後に2億3千万円で売却すれば、
1億3千万円分の課税価格に係る相続税の課税が回避できてしまうことになります。

この時価と評価額との乖離を是正するために、
有識者会議では、相続税評価額に乖離率を乗じて評価する方法を検討しています。
この方法であれば、画一的に、簡素に評価できるという狙いです。

今回の発表の中で、次のような表現やデータがありました。

より高層(より高い容積率)となるにつれ、市場価格との乖離要因の一つとなっている
33階建以上であれば乖離率に与える影響は頭打ちになる
・土地・建物比率は、戸建8:2、5階建未満のマンション7:3、20階建以上4:6
 よって、高層マンションの評価には、土地の立地条件の優劣が反映されにくい

乖離を是正するための具体的な階数や増加率は、今回の情報では発表されませんでしたが
こういった情報から考えると、推測できる部分もあるでしょうか。
おそらく年内には原案ができあがるのはないかと思います。

一般の納税者にはあまり関係のない改正となるかもしれませんが
節税目的でマンションを保有しているわけではない方にも影響があるという意味で
今後の動きが気になるところです。

参考HP:国税庁 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023005-051.pdf

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