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コラム

2023.03.03

寺尾会計の税務的な毎日

賃貸借契約書の税務的な確認事項

今年もお雛様の季節が巡ってきました。
税理士事務所においては、ここが所得税申告の正念場です。

さて、不動産収入のある方の申告書を作成する際に確認するものの一つに賃貸借契約書があります。

税務的に賃貸借契約書を確認する際のポイントには次のような内容があります。

① 貸付けている不動産の所在地
② 貸付けている相手先の名称
③ 貸付けている相手先の利用用途

④ 賃貸料の金額
⑤ 賃貸料の支払期限

⑥ 保証金の有無
⑦ 保証金の返還償却の有無

⑧ 契約期間
⑨ 契約の自動更新の有無

⑩ 特約事項

上記以外の条項は、不動産賃貸をするうえで重要な項目ですが、
税務申告書を作成する上ではあまり注目されることはありません。

特に⑤と⑦は、契約書を確認しなければわからないが
収入金額の計上に直接的な影響を及ぼす項目であるため、しっかり確認します。


⑤ 賃料の支払期限
当月末日までに翌月分、当月1日に限り当月分という形で取決めがされています。
不動産収入を計上すべき時期は、原則として、契約書に記載されている支払日となります。

ですから、契約書に「当月末日までに翌月分」と記載されている場合に
令和4年12月に振り込まれるべき賃貸料(翌年1月分)は、令和4年分の収入として認識されます。

しかし、一定の場合には例外として、貸付期間対応で不動産所得の計算が認められます。
貸付期間対応で計上する場合、上記の例でいうと、
令和4年12月に振り込まれるべき賃貸料(翌年1月分)は、令和5年分の収入として認識されます。

なお、不動産所得を生じる不動産がAとBとある場合に
Aは原則の支払日基準、Bは例外の貸付期間対応基準とすることはできません。
すべての不動産収入についてどちらかの基準で計上することになります。


⑦ 保証金の返却償却の有無
契約の開始に際し預かった保証金を収入に計上すべきかどうかは、賃貸借契約書の記載内容によります。

A 契約終了時に全額返還する。
   → オーナーの手元に残る金額がないので、収入に計上しません。

B 契約終了時に債務等を差引いた残額を返還する。
   → オーナーの手元に残る金額が確定する時(保証金を返還する時)に、
     返還しなかった金額を収入に計上します。

C 契約終了時に全額償却する。
   → 契約開始時に収入に計上します。終了時ではありません。

D 契約開始時に全額償却する。
   → 契約開始時に収入に計上します。

E 契約開始時に50%償却し、契約終了時に残額は返還する
   → 契約開始時に50%相当額を収入に計上し、残額は収入に計上しません。

F 毎月一定額を償却する。
   → 毎月一定額を収入に計上します。

保証金の取扱いにはバリエーションが多く、上記以外のパターンもあります。
いずれにしても、借主に返還しないことが確定した日に収入に計上することとなります。


賃貸借契約書は、相続税申告の際にも確認していきます。

古くから貸付けている不動産の場合、オーナーの手元に契約書が残っていないことがあります。
契約書がなくとも、賃貸トラブルが生じなければ問題なく貸付が完了することもありますが、
契約内容を再確認する意味でも、借主と改めて契約書を取り交わすことも
検討の余地があるのではないでしょうか。

国税庁 No.1376 不動産所得の収入計上時期
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376.htm

国税庁 不動産等の賃貸料にかかる不動産所得の収入金額 の計上時期について
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/731106/01.htm

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