2021.02.13
経営支援資料館
仕入れ先様との共同ものつくり改革活動とWinWinの強化 第1回 グローバル源流保証と活動背景
ものつくり110番 改善アドバイザー
吉田 克夫
源流とは
グローバル源流保証活動説明の前に、源流とはについて触れておく。
源流には二つの意味がある。
一つは物を作る工程の一番初め、すなわち仕入先様(材料含む)の事を意味し、
もう一つはものを作るステージの一番初め、すなわち設計、図面段階のことを意味する。
ここでは、仕入先様を対象にした活動について説明させて頂く。
グローバル源流保証活動とは
源流保証活動とは、メーカと、主要サプライヤー(QCDE総合評価上位仕入先様)とが共同して改善改革を進めていく活動のことをいう。
この活動を通じ、業界トップランナー仕入先群を目指し
Win Winの関係強化を図る事を目的としている。
活動は、国内仕入先様を対象にスタートしたが、現在は東南アジアが主流となっている。
活動実施仕入先様社数は、国内50社以上 中国30社以上 タイ20社以上、
他フイリッピン、ベトナムは数社である。(仕入れ先様従業員規模は30名~5000名)
源流保証活動におけるメーカと仕入先様の役割
下記にグローバル源流保証活動の概念図を添付する。
メーカは、基本からたたき込まれてきた技能、技術及び改善ツール類の提供、
仕入先様は独自に培ってきた生産(加工)ノウハウを提供しながら、 共同にて目的達成に望んできた。
これら活動を通じビジネスパートナーとしての強い信頼関係が構築されている。
「グローバル源流保証活動概念図」
![](https://www.teraokaikei.com/wp/wp-content/uploads/2021/01/image.png)
活動背景
源流保証活動をスタートした背景は二つある。
1. 市場で、仕入先様部品問題発生
市場で発生した部品問題は、 仕入先様検査及び、
メーカ検査点をもすり抜けて市場に流出していた。
当時より懸念されていた検査点保証では限界領域にあり、
仕入先様工程内保証への完全切り替えの時期に来ていた。
2. 生産環境の変化(アジアシフト)に伴う仕入先様再編
生産のアジアシフトが進み、仕入先様再編の波が押し寄せていた。
購買部門より、仕入先様選定システムの見直しが打ち出され、
QCDE総合評価上位仕入先様がビジネスパートナーとして登録されるようになった。
ビジネスパートナーとは、より強固に、より強い信頼関係が不可欠になり、
それらのことを構築して行く為の手段として、源流保証活動が選択された。
対象仕入先様群
スタートは国内であり、対象仕入先様は、汎用品購入仕入先様は除き、
加工品の主要サプライヤーとした。
業種は、Assy、モールド、プレス、切削、プリント基板、ゴム、ミラー、バネ、ねじ、ハーネス等。
まずはモデル仕入れ先様を5社作り、その後随時拡大して行った。
主要サプライヤー以外でも、特注品、材料メーカ、新規仕入先様 等のサポートに入ることもあった。
国内安定後、対象を中国、タイへと展開したが、対象は国内同様である。
国内は30名~500名規模が大半だったが、中国は300名~5000名と10倍規模であることに
驚きを感じた。
活動の競争優位化
源流保証活動は自己満足的活動に終始しない事と、世間から乖離した活動にならないよう、
常にアンテナを張り巡らせながらレベルアップに務めてきた。
方法は色々あったが、一番影響を及ぼしたのはベンチマークであった。
ベンチマークは、同業種から得るものも大きかったが、異業種からは新鮮な感覚を学ばせて頂いた。
マツダ様、ソニー様、松下電機様、IBM様 等々20社以上の大手企業様を訪問させて頂いたが、
各社様豊富な経験に基づいた、グローバルなお話と事例をご紹介頂いた。
ユニクロ様本社を訪問させて頂いた時は、多くの海外拠点が、
TV会議方式にて一斉対応して頂いたことに、感激と感動を覚えた。
これらのベンチマークを通じて、支援者の心構え、海外展開のポイント、
仕入先様の正しい評価方法と指導のポイント等を学び、グローバル源流保証活動に反映された。
その後、源流保証活動は、大手メーカや、競合他社より逆ベンチマークされる様になってきた。
第一回はここまでとさせていただきます。