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コラム

2020.11.13

経営支援資料館

中小企業こそ、残業を減らしたい!                     第6回 残業時間削減の事例 その3 ~労働環境の改善~

ライター
吉田典史

全員が制度を試みる

中小企業が残業削減に取り組むうえでの大きなポイントは、
全社規模で社長以下、全員が試みることです。

今回は「勤務間インターバル制度」を導入し、残業時間を減らす試みに取り組む
中小企業の事例を紹介します。

勤務間インターバル制度は前日の終業時刻と翌日の始業時刻との間に
一定時間以上を確保し、働くことができるようにするものです。
心身の健康を維持し、ゆとりある私生活を維持できるようにするためです。

紹介する事例は創業30年程の建設資材のメーカーで、社員は17人、パートが10人程。
正社員の残業時間は、2015~2017年は月平均40時間。パートの残業はありません。
社長や役員は、従業員(特に正社員)の労働環境を改善しようと思いました。

そこで2017年に導入したのが、勤務間インターバル制度。
インターバル時間は、11時間としました。

始業時間は全員が8時30分であるので、逆算して、
前日の21時までには、できれば20時までには退社するように、11時間としました。

全社で現状認識を共有

導入前にまず、現状認識を全社で共有しました。
社長や役員が全社員の2015~17年の年間総残業時間と残業代の総額を伝えたのです。

アンケート調査

その後、全従業員を対象にアンケート調査をします。
労働時間や残業時間について率直に思うことを自由記述式で書くものです。
社長や役員は全員のアンケートに目を通すと、
互いに仕事の内容や量、課題を正確に把握できていないと察しました。

業務の見える化

そこで、業務の「見える化」を進めました。
特に朝礼や会議に一層に力を入れるようにしたのです。


朝礼は週5日(月~金)、原則として全社員が参加します。
始業時間の8時30分にスタートし、約30分。
最後に、それぞれが退社予定の時間を宣言し、効率よく働く意識を高めました。


全員が始業時間を厳守することで、
勤務間インターバル制度が形骸化しないようにしました。

勤怠管理の徹底

ほぼ同時期に、勤怠管理を打刻式のタイムカードからICカードによるものに変えました。

残業代の未払いの問題が生じる理由の1つは、ここにあります。
打刻式の場合、「打刻ミス」や「打ち忘れ」などが生じやすいのです。

各自が独自のパスワードを持ち、毎月の出勤・退勤時間や残業時間を確認します。
月の残業が30時間を超えた翌日には、「アラート(警告)メール」がその社員の登録した携帯電話などに届きます。

制度導入後、残業時間は月平均30時間前後に減り、
2020年現在は15時間前後になっています。

まとめ

大切なことは、以下の流れです。

  1. 全社で残業時間、残業代を共有
  2. アンケート調査で、全社員の意識を把握
  3. 業務の「見える化」で共有
  4. 勤怠管理の徹底
  5. 勤務間インターバル制度の厳守

これらを踏まえることで、全社規模で全社員が参加し、
残業を組織として減らすようにしているのです。

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