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コラム

2015.12.03

寺尾会計の税務的な毎日

今後の所得税・資産税の行方

経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理
が、11月13日に税制調査会から公表されました。

論点整理.jpg

これは、個人所得課税と資産課税についての今後の検討方針です。
 消費税については、税率10%と社会保障財源化、
 法人税については、課税ベースの拡大と、実効税率の引き下げが
 すでに決まっています

この論点整理に何度も出てくる言葉が
所得・資産の「再配分機能」です。
その理由は以下の通りです。
若年層、低所得層が意欲を持って働き、安心して結婚し、
 子供を産み育てることができるようにする観点
・家族の形成を社会全体で支えるという視点
・昭和62・63年の抜本的税制改革以来の低所得層における負担増

・会社、家族、地域での支えあい機能(セーフティーネット)機能の低下
による社会的セーフティネットの必要性の向上

                     (以上、個人所得課税)
・相続人の高齢化により
 相続財産が相続人の生活基盤を形成するという意味合いが減少

・「老後扶養の社会化」の進展を踏まえた遺産の社会還元
 (生涯にわたり社会から受けた給付を清算する観点)
・資産格差による次世代の機会格差の防止
                     (以上、資産課税)
これまで、再配分機能は格差の固定化防止という観点から
説明されることが多かったのですが、
なかなか理解・共感しやすい理由であるように思います。
課税制度の見直しの考え方としては以下の通りです。
・最高税率は引き上げない
所得控除方式に代わる制度のあり方を検討
所得計算上の控除のあり方を検討
人的控除の拡充
・個人住民税の控除のあり方の検討
・現行の仕組みにおける、個人のライフコースに影響されない
  公平な制度の構築
 (老後の生活に備えるための自助努力を支援する目的)
                     (以上、個人所得課税)
・平成25年度税制改正の資産再配分機能向上への影響の検討
・遺産による寄付等、社会への直接的還元の促進
・資産移転の時期の選択に対する中立性の確保
 (贈与税と相続税の税負担水準の均衡
                     (以上、資産課税)
まずは検討方針ということで、確定的な制度は書かれていませんが、
今後、制度の大きな変更(特に所得控除方式)をにおわせる興味深い資料だと思います。
所得・資産の再配分機能の向上はつまり、資産家増税とも言えます。
ですが、課税負担が増えるという理由だけで新しい制度に反対する、
いわば、国会における野党のような行動は控え、
この論点整理ほかの改正の論拠をもとに、良否を判断したいものです。
平成25年度の相続税大改正に続き、来年度以降の税制改正も大きな改正が見込まれそうです。
参照HP:税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理
http://www.cao.go.jp/zei-cho/shimon/
(142ページにわたる資料がありますが、文章は1/13、4/13のみで、他は参考資料です)

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